借景を取り入れた景色を楽しむ家づくり
コラム
家づくりの手法として、借景というキーワードがあります。周りの風景を自宅に取り込むことのできる借景は、ぜひ取り入れたいデザイン手法ですが、どのようにすればいいのでしょうか。今回は、借景を取り入れるためのコツなどを詳しくご紹介しましょう。
目次:
1.借景とは
借景とは、その字の表す通り景色を借りるという意味で、もともとは造園におけるデザイン手法の一つでした。これを住宅の間取りに取り入れたのが、家づくりにおける借景です。家の中に居ながら、窓を通して外部の美しい風景を取り込むことになるので、建物の配置はもちろん、窓の形状や配置など、細部にわたっての計画が必要です。また、家の中で座っているときに見える風景と、立ったり歩いたりしたときに見える風景の違いにも配慮が必要となります。
2.住まいに借景を作る際のコツ
・どの部屋から借景を楽しむか
まずは、どの部屋から借景を楽しむかを考えてみましょう。家族や来客があつまる空間で借景を眺めたい場合は、LDKから見えるように間取りと窓の配置を考える必要があります。また、寝室から借景が望めるお部屋であれば、朝起きたときに自然の風景を眺めて爽やかな気分に浸ることができるでしょう。このように、借景を楽しむ部屋の選択は、住まいに借景を取り入れる際の重要なポイントの一つです。家づくりの初期段階から、この点を考慮に入れることで、より満足度の高い住まいを実現できるでしょう。
・見ることと見られることのバランスを考える
住まいに借景を作る際のコツとして、見ることと見られることのバランスを考えるというものがあります。借景というのは、外部の風景を自宅の窓から眺められるようにする設計技法です。窓があるということは、逆に外部からの視線も気にする必要があるのかもしれません。例えば、家の外にある街路樹を借景として取り入れたい場合には、通りを歩く人から見られないように、目線より高い位置に風景だけを切り取れる窓を設置するなどの工夫が必要でしょう。
・自分の庭とのつながりを考える
自分の庭とのつながりを考えるというのも、借景を作る際のコツと言えるでしょう。外部の自然の緑や美しい風景を取り入れることが借景の考え方ですが、そこに自分の庭もプラスしてみるというのはどうでしょうか。作り方によっては、外部の自然が自分の庭と一体となって続いていくような効果を狙えるかもしれません。また、借景に頼りきりにならず、自分の庭をしっかり作っておくことで、万が一借景となる外部の風景が変化したときにも対応できますね。
3.美しい借景を取り入れた実例紹介
・ダイナミックな自然を借景した開放的な空間
この大空間の家は、豊かな自然に囲まれた場所に建っています。家の内部にはほぼ間仕切りがなく、家の四方の壁にはこの豊かな自然を取り込むために様々なデザインの窓が取り付けられているのが特徴です。すべての空間が明るく、圧倒的な開放感を味わうことができます。吹き抜けのある玄関わきの階段を上って二階へ上がれば、読書や勉強など自由に楽しめるカウンターが。この椅子に座って、借景である遠くの山を眺めながら過ごす時間は格別でしょう。
・家の前に広がる緑を大きな窓で楽しむ
小鳥と暮らす、シンプルな平屋です。敷地は広く、周辺にも豊かな自然が十分にあり、開放感のある空間に設置された大小様々な窓から借景を楽しむ生活を送れます。また、開放感のある間取りと、豊かな緑を室内に取り込む窓の設置で、小鳥も大自然に暮らすようにストレスなく暮らすことができるでしょう。人間にも動物にも優しい環境で豊かな暮らしが実現しています。
家を建てるという人生の一大イベントは、敷地選びから始まっています。敷地に立って周りを見渡してみましょう。素敵な暮らしが想像できたり、周りに豊かな緑や季節の花々があったりと、借景という視点から土地を探してみるというのも一つの方法と言えるのかもしれませんね。
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著者:一級建築士 岸 弘