日本人なら誰もが懐かしさを感じる「和」のテイスト。馴染みが深いからこそ、どちらかというと古くて垢抜けない印象をお持ちの方が多いかもしれません。しかし、海外では最近、和のテイストを取り入れたインテリアがモダンなデザインとして注目を集めています。シンプルで落ち着きのある和のテイストは、洗練されたイメージを持つため、モダンな空間を作るのに非常に適しているのです。せっかく日本人としてマイホームを建てるなら、日本の伝統をデザインにいかしたお家にしたいと思いませんか？　今回は、日本らしい和のテイストを取り入れてモダンデザインを実現した事例をご紹介します。

1.シンプルなインテリアに合わせた畳スペース

リビングの一角に畳スペースを取り入れた空間。ナチュラルな色合いでシンプルな中にも居心地の良さがあるデザインです。自然由来のものが多い日本の伝統的な素材は、北欧テイストとの相性がよくリビングをより洗練された印象にしてくれていますね。また、畳のスペースにもブラインドや天井埋め込み型のダウンライトを取り入れて、隣接する洋室とセンス良く調和させています。静謐な佇まいの畳スペースを併設することで、洋室リビングを一味違った趣にアップグレードしたモダンデザインです。

2.シックなカラー畳で階段裏をスタイリッシュな空間に

大人っぽいシックな色味の畳で、階段裏のスペースをスタイリッシュな空間にした事例です。畳を取り入れることでメリハリがつき、引き締まった印象にしてくれています。また、床材を変えることで仕切りがなくても自然と空間が分けられているのもポイント。白い壁にグレーの畳、そしてスケルトン階段の黒がモノトーンでまとめられている中に、階段の木の踏み板が温かみをプラスしてトータルでコーディネートされています。通常、階段の裏はデッドスペースになりやすく活用の難易度が高い部分です。しかし、これだけおしゃれな空間にできれば、活用の幅も大きく広がりそうですね。畳という和のテイストを取り入れることで、空間をスタイリッシュにデザインした好例です。

3.シンプルを極めた和モダンのお部屋

洋の要素を抑え、和のテイストの比重を大きくしたデザインの空間です。一見、オーソドックスな和室に見えるかもしれませんが、縁なしのすっきりとした畳と提灯のような照明がモダンな印象を醸しています。また、低い位置に抑えられた小さめの窓によって部屋全体が暗めに設定され、シンプルながらもドラマチックで厳かな雰囲気を演出してくれています。家具やインテリアが一切なくても様になる、和のテイストの良さを存分に生かしたモダンデザインのお部屋です。

無機質な印象になりやすい洋風のモダンデザインに対して、和のモダンデザインはシンプルさの中にもくつろぎや温かみをもたせてくれます。そのため、スタイリッシュさだけでなく居心地の良さもマイホームに求める方には、和のテイストを取り入れたモダンデザインが最適です。しっとりとした和のテイストで、マイホームをさらにモダンで上質な空間にアップグレードしましょう。

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著者：一級建築士　岸 弘