「階段」といえば、以前は玄関ホールに設置するのが常識でした。しかし、最近は、リビングに階段を設置する「リビング階段」に人気が集まっています。リビング階段は、素材やデザインを工夫して階段そのものをインテリアのように楽しめることや、その利便性の高さからさまざまなメリットがあります。上下の移動のためだけでない、リビング階段の魅力に迫ります。

1.省スペースでリビングを広々、開放的に！

リビングに階段を設置すれば、敷地面積を有効活用してリビングを広くできます。昔ながらの独立階段は、階段のためだけに、ある程度スペースを確保しなければなりませんでした。そのため、限られた敷地面積のなか生活するスペースが狭くなってしまうことも。リビング階段であれば、階段スペースの分、リビングの間取りを広々ととれるメリットがあります。また、リビング階段によって1階と2階につながりができ、リビングをさらに広く見せて開放的な空間を演出できます。

2.リビング階段で家族の存在がもっと身近に！

階段がリビングにあると、2階に上がるときには必ずリビングを通る必要が出てきます。そのため、意識せずとも家族が顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが取りやすくなります。お子さんが成長して会話が少なくなっても、自然と様子を伺えるため「なんだか元気がないな」「少し体調が悪いのかな」など些細な変化にも気づきやすくなりそうです。また、階段での事故や怪我が心配なお年寄りがいるご家庭も、家族が集まるリビングに階段があれば、上り下りを見守りやすく安心です。

3.窓からの光溢れる、明るいリビング階段

昔ながらの家の階段は暗いイメージがありませんか？　独立階段は、明かりが入りにくく暗くなってしまいがち。また、冷暖房をきかせた部屋から切り離されているため、夏は暑く冬は寒いと感じて不便も多かったことと思います。リビング階段なら、そんな暗くて不便な階段のイメージから脱却し、明るく快適に上り下りできる場所になります。写真のように、すっきりとしたスケルトン階段であれば、見た目がスタイリッシュなだけでなく窓からの光を遮ることなく、きちんと屋内にも自然光を届かせてくれますよ。

リビング階段は、上下移動のための階段としてだけでなく、暮らしをもっと快適でおしゃれにしてくれる役割も担っています。開放感があり明るく快適なリビング階段は、家族の絆も深めてくれる重要な存在になりそうですね。ぜひ、家族の暮らしにぴったりな階段づくりのご参考にしてください。

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著者：一級建築士　岸 弘