木の質感を大事にする暮らし
コラム
木をたくさん使った空間に足を踏み入れると、ふわっと木の香りを感じることが出来ます。新しく建った建物はもちろん、例えば古民家のような年代物の建物であっても、それは同じで、その香りにまずは癒されるところから始まりますよね。木材の香りには脳の興奮を抑えたり、リラックスさせる効果が研究によって実証されています。その他にも木を手で直に触れたり、素足で木に触れることによりストレス度が下がることも分かっています。
仕事や学校から帰って来て、リラックスしたい時を過ごす空間にはやはり、木の質感を感じる家が理想なのではないでしょうか。現代の日本において家を建てる素材には、木材、コンクリート、鉄骨など色々ありますが、やはり木造が一番身近に感じる構造だと思います。今回は内部空間においても、木の質感を活かした事例をご紹介したいと思います。
目次:
1.吹抜けの上から、木の質感を感じる
木造の家ではせっかく木を構造体に使っているのですから、その木を現しにするだけで木の質感を活かした仕上げにしませんか? 木の材質をクロスなどの素材で覆ってしまうのは勿体ないことです。玄関上部に吹抜けを作ったこちらの事例では、床材にフローリングを使い、間仕切り建具も全て木材で仕上げています。玄関上部の梁も現しにすることで、木の質感をたっぷりと感じることが出来ます。また、吹き抜けを通して上階に居ても上から木の梁を見下ろすことが出来るのもポイントです。仕上げ材としてクロスと現しをどう配分するかは好みが分かれるところだと思いますので家族でよく相談するといいでしょう。
2.木の質感を存分に感じられるリビング
冬はやっぱり、こたつ。と言う方も少なくないのではないでしょうか。日本の冬の家の中の風景と言えば、「こたつにみかん。」ではないでしょうか。こちらの事例でも木材をたっぷりと使ったフローリングにこたつが設置されています。食後にこたつでゴロンと横になった時に肌に触れる木材の質感がさらに癒しを与えてくれるのではないでしょうか。また、フローリングだけではなく、キッチンや階段にも木の素材を使っています。木の質感を楽しめるリビングとなっていますね。
3.シンプル好きな方向けの木の質感を活かした空間
木の香りや肌触りは好きだけど、木をたくさん使う事によって山小屋みたいな雰囲気になるのはちょっと、と思う方も中にはいらっしゃるでしょう。そんなシンプルな空間が好きな方であっても木の質感を活かした家を作ることは出来ます。こちらの事例では床材、梁、階段の踏板に木材を採用しています。梁は構造を現しにしていますね。こうして木材を多用しているにも関わらず、シンプルでクールな空間に仕上がっているのは、他の仕上げ材の選択が重要です。空間全体は白でまとめて、奥のクロスは色味を暗いものにしてモノトーンのアクセントの役割を担って空間をキリっと締めています。家具もシックな色を使っていることもポイントですね。
今回は木の質感を活かした事例を見て頂きました。構造自体が木造であれば、仕上げ材を使わずにコストカットして木の質感を出すことが出来ますし、木造以外であっても仕上げ材で木の質感を加えることが出来るという事がお分かりいただけたと思います。木は昔から日本人にとって身近な素材でした。それは、研究などされる前から、木の香り、肌触りなどが人間に与えるいい影響を肌で感じていたからこそではないでしょうか。皆さんも是非、木の質感を大事にする家づくりを考えてみてはいかがでしょう。
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著者:一級建築士 岸 弘